Signature Designer = LOGAN atelierのトレードマークとして、また一人の人間としても尊敬できるデザイナー個人をピックアップして皆さんにご紹介していく特集です。デザイナー/作り手の人となりを知り、普段お店には並ぶことのないデザイン細部に至るまでの想いを理解し、「ものづくり」への愛を感じて頂く事で、皆さんが少しでも彼らのデザインを長く愛用するきっかけの一助となるように始めた企画です。
vol.7は、LOGAN atelierではSculptures Jeux経由で作品を展開してくださっているOttone Studioの『Sara Piasentin(サラ・ピアセンティン)とMorris Granzotto(モリス・グランゾット)』さんのお二人です。ペアで活動されているデザイナーさんとしてはご多分に漏れず学生時代に出会い、個々での活動を経てスタジオ設立に至っています。
イタリアデザインらしく、エレガントの王道を進みながらも楽しむことを忘れないそのデザインは見るものすべてを魅了します。
Ottoneというブランド名の由来も興味深く、掘り下げては伺わなかったもののここに至るまでの苦労や想いが汲み取れるインタビューでした。
——まずは自己紹介をお願いします。
私たちは、ヴェネツィアのIUAV University Institute of Architectureで共に学んだ同窓生です。その後の数年間は、例えばAldo Cibic、Livio Graziottin、Luciano Bertoncini、Luca Nichettoといった国際的にも有名なイタリアを代表するデザイナーの元でそれぞれ経験を積んでいました。お互いにコラボレーションするようになったのは2009年頃からで、2013年にデザインとクリエイティブコンサルティングを基幹事業としたOttone Studioを設立しました。
——あなたの国(イタリア)について教えてください。
ミラノ、ヴェネツィア、トレヴィーゾでの活動を経て、大都市の喧騒から逃れるように2013年の設立に合わせて辿り着いたのがヴィットリオ・ヴェネトでした。現在は16世紀に建てられた建物の一部屋をオフィスとしています。 歴史に富み、刺激的な風景に囲まれたこの環境は、スタジオの哲学と完璧に調和した創造的なインスピレーションの源となっています。
——週末の過ごし方について教えてください。
Morris: 大抵の場合は旅行へいくか、もしくは美術展巡りでしょうか。あとはそうですね。ヴィットリオ・ヴェネトの丘でクロスカントリーをしていますね。
Sara: 今は陶器づくりにはまっています。さまざまなオブジェクトや形、それに技法を試すことが出来るんですよ。
——ブランド名の由来は?
イタリア語で「ottone」という言葉は銅と亜鉛の2つの金属で構成される合金、「真鍮」を意味しています。真鍮は耐性があり、延性があり、そして順応性があり、さまざまな用途にもちいられます。この合金と同様に、Ottone Studioも2つの要素を組み合わせた結果であり、これらの特性に基づいて設計アプローチを行っています。
それと「the Antica Birraria Ottone」というバッサーノ・デル・グラッパにあるレストランも実はちょっと関係しているんです。この長い歴史を持つ大変居心地の良いレストランは、過ぎ去った時代を思い起こさせる調度品をインテリアに取り入れており一見の価値があります。
▲ Ottone Studioのスタジオの様子
——デザイナーになろうと決めたきっかけを教えてください。
実体化した物体が呼び起こす感情。非日常に遭遇することによって引き起こされる経験。秩序、バランス、統合の探求。そして実験。様々な要素が絡み合って今この場に立たせていただいています。
——あなたに影響を与えたデザイナーはいらっしゃいますか?
ヴァナキュラーなデザイン、バウハウス、イームズ、カスティリオーニ兄弟の象徴的で時代を超越したデザインの合理性、そしてブルーノムナーリの皮肉的で遊び心のあるスタイルでしょうか。
——最近の主な活動内容を教えてください。
Ottone Studioは、戦略、製品デザイン、ブランドアイデンティティを横断的に扱う一方で、家具、ファッション、食品のコンテキストで複数の分野に取り組むことにより、その学際的な性質を統合しています。
——デザイナーとしてのこだわりであったり、大切にしているものを教えてください。
誠実さ、創造的なジェスチャーにおける信憑性、アイデアとその結果を維持できる概念的思考。
——日本の皆さんにあなたのデザインに何を感じて貰いたいですか?
私たちは、合成、機能性、親しみやすさを組み合わせながら、人や場所に適応する時代を超えた製品を提供したいと考えています。
——あなたのモットーをお聞かせください。
“design as a method of action”
——イタリアのデザインに一貫した特徴はありますか? あなたのデザインにも反映されていますか?
イタリアのデザインはフォルムと機能性、時代を越えたエレガンスと楽しさだけでなく、メンフィスの運動を考えると実験的でもあります。
デザインの遍在性はイタリア社会に浸透し、分野自体の歴史を特徴づける卓越性を生み出しています。Ottone Studioのデザインアプローチは、これらの特性に非常に強くリンクしています。
——特別にLOGAN atelierにだけ未発表のプロジェクトについて少し情報いただけませんか?
通常のデザインプロジェクトと並行して、実験用に設計された小さな社内製品に取り組んでおり、必ずしも商業指向ではないオブジェクトの創造に取り組んでいます。
——最後に日本の皆さんに一言あればお願いします。
私たちの作品が日本の消費者の皆さまに喜んでいただけると考えただけで興奮しています。
過去に日本を訪問し国の文化や感性を体験したことは、デザイナーとしても一個人としても大変成長させてくれるものでした。今日に至るまで、Ottone Studioは日本を横断的なインスピレーションの尽きることのない情報ソースとしてみなしています。
Sara Piasentin(右) & Morris Granzotto(左)
プロダクトデザイナー
Ottone Studioは、デザインおよびビジュアルコミュニケーションスタジオ。
2013年にMorris GranzottoとSara Piasentinによって学際的なグラフィックデザインスペースとして設立されたOttone Studioは、紙とデジタル、製品と展示デザインを専門としています。クライアントとの緊密な協力のもとで、デザイン研究と、非物質的な言語をオブジェクトに変換することができる制作へのマテリアルなアプローチを組み合わせています。
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